東アジア生涯学習研究フォーラム(3) TOP
~2020~2024年~記録
(1) 東アジア生涯学習研究フオーラム 2009年~2016年→■(前々ページ)
(2) 東アジア生涯学習研究フオーラム 2017年~2019年→■(前ページ)
*東アジア生涯学習研究フオーラム回想(小林・南の風2011)■
<関連サイト>
1,1990年~2000年以降の研究交流、中国→■、韓国→■、台湾→■
2,三国シンポ(上海・2010)をめぐる動き→■ 関連アルバム→■
3,東アジア(1993~)社会教育・生涯学習研究(1)→■、同(2019~)(2)→■
<目次>
2020年
1,2020東アジアフォーラム・松本開催案について協議記録(南の風4123~250号)
1月16日(松本)―木下・矢久保・小林等報告→■、同アルバム→■
2,2020公民館学会・東アジアフォーラム松本案について(上田孝典、3/ 27)
3,松本開催案・どう進めていくか(上田孝典、Thu, 6 Feb 2020 16:49)
4,コロナ禍のため変更検討 石井山龍平(2020年11月13日19:16)
5,学術変革領域研究A「生涯学の創出―超高齢社会における発達・加齢
観の刷新」申請/採択 (石井山竜平、2020年11月13日)
6,TOAFAEC年報25号編集会議 石井山竜平(2020年11月21日)
7,韓国との打ち合わせ (李正連、2020/11/24 (火) 1:14)
2021年
8, 韓国との打ち合わせ(石井山) 2021年1月27日(日)20:00~22:00
9, 2021年2月「東アジア・フォーラム」オンラインへのお誘い(石井山2月8日)
10, 2021年2月「東アジア・フォーラム」 交流略史1~5(石井山・小林)→■
2022年
11,年報第27号(2022年):東アジア社会教育・生涯学習半世紀の歩み →■
ー躍動に学び、課題をさぐる (小林)
2023年
12, 東アジア生涯学習フォーラム沖縄開催についてお願い(1月8日)石井山
13, 3月・名護訪問報告ー東アジアフオーラム開催について(3月11日)石井山
14, 11月・名護フォ-ラム準備・開催記録→■
2024年
15, 中国・杭州フオーラム・プログラム(2024年12月21~22日)概要
1、2020東アジア・フォーラム・松本開催案について協議記録 (南の風4123~25号)
1月16日(松本)―木下・矢久保・小林 協議→■、同アルバム→■
▼松本・夜の懇親会
2、2020・公民館学会・東アジアフォーラムを松本で開催
(筑波大学・上田孝典、Mon, 27 Jan 2020 12:16)
<2020 東アジアフォーラムについて>
ご無沙汰しております。先週(1月16日)の松本会議で、東アジアフォーラムについてご説明いただき、ありがとうございました。長野の皆様にも、フォーラムの趣旨や意義が確認され、公民館学会と合わせての開催についても前向きに考えていただく機会にしていただけました。さて昨日(26日)、公民館学会の臨時理事会を開催し、松本大学において12/5-6(2020年)の日程で研究大会をすることに決定いたしました。
その際、木下さんからも先の松本会議での内容について報告していただき、公民館学会に続いてフォーラムを実施することを理事会で確認しました。また長野、学会、フォーラムの合同企画についても、実施の可能性を探っていくことが了承されました。
今後、東アジアフォーラムについて、テーマの設定や具体的なプログラムの内容について検討していかなければなりませんが、この間の小林先生や石井山先生の働きかけにより、ひとまず関係方面との調整と、必要に応じて学会とも連携・協力ができる体制になったかと思います。
そこで、李先生と黄先生と山口さんには韓国、中国、台湾のそれぞれに対して、日本開催の第一報として以下の通り日程と開催地の打診をしていただけないでしょうか。
◆日程:2020年12月6日(日)~9日(水)
場所:長野県松本市
またテーマについてですが、長野・松本から学ぶことを主眼に、生活課題に対する地域住民の主体的な学習活動(町内公民館)に焦点を当てながら、さらにそれを行政などが連携しながらどのように支えているか(地区公民館、社会教育職員、大学)について考えてみるような内容でどうかと考えています。
具体的には、「地域の福祉的課題と向き合う住民の学習」や「学校支援から地域の学校づくりへ」などはどうでしょうか。まだ原案に過ぎませんが、テーマについて各国の意見を伺っていただければと思います。
日程等を含めて現時点での暫定案であり、各国の要望や都合を勘案して調整していくたたき台とお考えいただければと思います。また皆さんからのご意見も聞かせていただきたく存じます。どうぞよろしくお願いします。
3、東アジアフォーラム・松本開催・どうすすめるか
上田孝典 Date: Thu, 6 Feb 2020 16:49:22 +0900
皆さま 先週末の編集会議に出席できず、失礼しました。
さて、ご承知のとおり来る12月に松本にて東アジア生涯学習研究フォーラムを開催することになります。先月には小林先生に松本まで足を運んでいただき、開催に向けての地ならしをしていただきました。その上で、それぞれに思い入れのある松本という地で、どのようなプログラムを計画し、どのようなテーマを設定するか、など日中韓台で共有しながら話し合う場を設けたいと思います。またTOAFAEC年報25号についてもご相談できればと思っています。
石井山先生に仙台から上京していただき、小林先生のご都合も合うということで下記のとおり日程を設定いたしました。もしご都合がつくようであれば、皆様にもご参加いただきたく存じます。
日時:2月17日(月)16:00~ 場所:風の部屋 どうぞよろしくお願いします。
4、コロナ禍のため変更検討
*東北大学・石井山竜平(2020年11月13日19:16)
<2020年度・東アジア生涯学習研究フォーラムのもちかたについて>
(中国、韓国、台湾、日本の)皆さま 日本・東北大の石井山です。ご無沙汰しております。
今年度の東アジア生涯学習研究フォーラム、予定を変更し、オンラインにて、2021年2月27日(土)開催とさせていただくことをご提案いたします。
当初、2020年度の開催国として、日本側としては、この12月に長野・松本で開催される予定とされていた日本公民館大会と連動させての開催を企画しておりました。しかし、新型コロナウイルスをめぐる問題から、松本での研究大会は延期とされました。
そのことなどを受けて、日本側の有志で再検討し、結果、今年度の東アジア生涯学習研究フォーラムは、学会等とは切り離し、単独でオンライン形式により行おうという意見で一致しました。開催時期としては、できるだけ年度の終わりに設定し、このコロナ禍の一年にそれぞれの国・地域の社会教育・生涯学習がいかなる経験をしてきたのか、そうした情報・知見を交流させることを趣旨とした機会をもちたいと思います。
内容の具体や、通訳体制の整備の方法などについては、これから相談をさせていただきますが、まずは、当初の予定を変更しますこと、しかし中止とはせず、オンラインでスリムな内容での開催を目指すということでご了解いただけると幸いです。また、関係する方々にご周知いただけますよう、よろしくお願いいたします。
*連絡先:石井山竜平
東北大学大学院教育学研究科 〒980-8576 宮城県仙台市青葉区川内27-1
TEL/FAX 022-795-4777 E-MAIL ishiiyama@hotmail.com
5、学術変革領域研究A「生涯学の創出―超高齢社会における発達・加齢観の刷新」申請/採択 2020年11月19日(木) 11:57 石井山 竜平
ご協力いただいておりました、学術変革領域研究A「生涯学の創出―超高齢社会における発達・加齢観の刷新」の申請、領域代表者の月浦崇先生より、今しがた「採択」されたとの連絡をいただきました。5年計画となります。
この結果はひとえに、ここ5年以上をかけて、この採択を目指して申請を繰り返し、万全の準備を重ねてこられた月浦先生たちの蓄積によるものです。この度の申請から加えていただくなかで、この条件を得られましたこと、月浦先生を始めとする他の計画研究の皆さんに心より感謝しつつ、他の計画研究に恥ずかしくない質の研究を達成しなければならないと気を引き締めているところです。皆さま、ご協力どうぞよろしくお願いいたします。
あらためまして、月浦先生の全体計画と、私たちの計画研究の申請内容をお送りいたします。私たちの計画研究のテーマは「生涯学習に関する国家政策および地域主導計画の東アジア的視座からの検証」です。①「生涯学習」に関わる国家政策の検証の部分を、吉田、寺脇、前川、小山、山本、西川、石井山等のチームで進め、②東アジア的検証の部分を、小林文人先生を中心とするTOAFAECのネットワークを核に進めていく、③得られ、精査された知見は、他の計画研究で得られた知見も含め、東北大学の社会教育主事講習や自治体職員研修等を活用して社会実装につなげていく、という内容です。
これから各チームを補充・整備し、それぞれの研究計画の具体を皆様と検討しなければなりません。今後の必要手続きを確認し、それぞれの研究計画の検討会議を呼びかけさせていただきます。応じていただけますよう、よろしくお願いいたします。
(石井山竜平 東北大学大学院教育学研究科)
6,TOAFAEC 年報25号編集会議、(石井山竜平、2020/11/21)
22日会議、少々遅れるかもしれませんが、参加いたします。その際、学術変革領域科研が採択されたことを受け、これを今後にどう活用していくのかについて、最初の話し合いをさせていただけると幸いです。本来なら、(小林先生の誕生日のお祝いと合わせて)採択の祝杯を皆様と共に交わしたい、皆様にも採択を喜んでいただきたいところですが、お昼ですので禁欲します。
ここだけの話、東アジアフォーラムにかかる費用を毎年全額負担できる規模の申請をしておりましたので、悩ましいことに財源は潤沢です。一方で、当然ながら、かつてとは比べ物にならない厳しい研究倫理規定や罰則規定がありますので、その有益な使い方を検討して頂き、文字通り、有益に使っていただく必要があります。また、年1回程度で良いので、定期的になんらかの学会発表を積み上げていく、そうした研究計画を用意する必要もございます。石井山竜平 東北大学大学院教育学研究科)
7,韓国との打ち合わせ (李正連、2020/11/24 (火) 1:14)
石井山先生、皆様 李です。
韓国との打ち合わせ(協議)について韓国の先生方にお伝えしました。韓国側の参加者は、梁炳賛先生、崔一先先生、姜大仲先生、チョ・ソンラン先生(現・東アジア平生教育研究会会長)の4名です。四人の先生方全員のご都合が合う日時は、以下の通りです。
・12月27日(日)午後の遅い時間帯(17時??)または夕方以降 ・12月28日(月)午後2時?夕方
どうぞよろしくお願い致します。
8、韓国との打ち合わせ (石井山 11:21:1:0:26) 27日(日)20:00?22:00
李さん、みなさま 早速の調整、ありがとうございます。
韓国の研究会文化や、トアフェックの学習会時間に鑑み、27日(日)20:00~22:00に設定したいと思いますが、いかがでしょう。ご都合が厳しい方がおられましたら、ご連絡ください。本日中に特になければ、この日程で、韓国とのミーティングは確定とさせていただきます。石井山竜平 東北大学大学院教育学研究科 TEL/FAX 022-795-4777
〇12月27日(日)20:00? 韓国の皆様とのミーティング
みなさま 石井山です。お世話になっております。
「生涯学」科研を活用しての東アジア研究交流にむけての各国との打ち合わせ、キックオフは韓国の皆様とのミーティングとなります。李先生に調整をしていただき、27日(日)20:00より行います。年の瀬にお時間をいただきますこと、ご容赦いただき、以下のURLよりお入りください。協議の内容は、①2021年2月27日(土)予定の東アジア研究フォーラムの持ち方についての協議、②本科研費の概要説明と、それに基づく今後4年間の共同研究(「生涯学習」政策の検証)にむけての協議、の大きく二点になるかと思います。
なお、中国の皆さんとのミーティングは、上田先生に調整していただき、1月24日(日)となっております。日程をお控えください。
9, 2021年2月「東アジア・フォーラム」オンラインへのお誘い
石井山竜平(2021/Feb 7 19:08)
<「東アジア生涯学習研究フォーラム」について>
石井山です。「東アジア生涯学習研究フォーラム」は、2019年度の北京開催を経て、2020年度は日本がホストとなり、日本公民館学会研究大会と時期を重ねて松本で開催する予定でした。しかし、このコロナ禍の事態。今年度のフォーラムは中止という判断もありましたが、何人かで協議を重ねるなか、ささやかでも、これまで集ってきた仲間が交流し合う機会を、年度内にオンラインでつくろう、となり、2月27日(土)10:00?(日本時間)開催予定で準備を進めています。
そのための協議を、12月27日(日)は韓国の方々と、1月24日(日)には中国の方々と持ちました。当初、中国はZOOMの活用が困難との話でしたが、それを越えて本日2月7日(日)、中国そして台湾からの参加も得てZOOMで繋がりあい、プログラムの具体を確認しました。
テーマは「新型コロナと生涯学習研究」と題し、各国・地域から、この一年のコロナ禍に社会教育・生涯学習がいかにむきあってきたのかを披露しあいます。
なお、このかん、他の国や地域と比べての日本側の研究資金・事業資金の乏しさが課題となっておりましたが、このたび、石井山が計画研究代表者の一人として加わって応募いたしました学術変革領域研究(A)「生涯学―超高齢社会における発達・加齢観の刷新」(代表:月浦崇(京都大学))が採択されました。この研究計画に、この東アジア生涯学習研究フォーラムを進めていく資金も計上したことから、これから数年は比較的安定的に研究交流をすすめることができます。そうした資金を活用しながら、いかなる国際共同研究を進めていくかについての協議も、当日の後半に行います。
言語は、日本語・中国語・韓国語の三カ国語のフォーラムとなります。単一言語の際の3倍の時間を使っての交流となります。将来的には、リモートで三カ国語のコミュニケーションをより円滑にすすめる方法を確立したいと思いますが、ともかくこのたびは、まず一度、これらの国・地域の関係者が集い交流することをやってみよう、という、試験的なフォーラムとなります。
申込を頂いた方はどなたでもご参加いただけるようにいたします。ご希望の方は、以下のフォームより、2月24日(水)までに登録ください。追って、参加URL等をお送りいたします。
https://docs.google.com/forms/d/1np9mFmx9f9IGkJwfAYfZu7cPYnIp_VnLMP-p0vhQYVA/edit
◆<「東アジア・フォーラム」オンラインへのお誘い>
・2月27日(日)タイムスケジュール 10:00 開会
10:10~10:30 主催である日本を代表して小林文人先生のスピーチ
10:30~11:10 報告①日本 11:10~11:50 報告②韓国
13:30~14:10 報告③中国 14:10~14:50 報告④台湾
14:50~16:00 全体討議 Tea Break
16:30~ 今後のフォーラムを進めるにあたっての協議
・2021年の開催計画について
・科研を活用しての共同研究について ほか
連絡先:石井山竜平 東北大学大学院教育学研究科
〒980-8576 宮城県仙台市青葉区川内27-1 TEL/FAX 022-795-4777
E-MAIL ishiiyama@hotmail.com
10, 2021年2月「東アジア・フォーラム」 1~5 交流略史→■
2022年
11,年報第27号(2022年):東アジア社会教育・生涯学習半世紀の歩み →■
ー躍動に学び、課題をさぐる
2023年
12,「東アジア生涯学習フォーラム」沖縄(名護)開催についてのお願い
…… 石井山 竜平(東北大学) January 8, 2023 5:15 PM TOAFAEC通信第33号
島袋正敏さま、稲嶺進さま、名護の皆様へ
東北大学の石井山竜平です。これまでも幾度かの「やんばる対談」等をご一緒させていただくなか、沖縄、とりわけ名護には浅からぬ思いを持ち続け、授業でも学生たちに沖縄のことを語る時間を毎年必ず持たせていただいております。このたびは、小林先生の、沖縄から東アジアへと拓かれてこられたネットワークを基盤に、中国、韓国、台湾、そして日本の社会教育・生涯学習の関係者が集う研究交流フォーラムを、この2023年、沖縄で開催させていただけないか、そのご協力をいただけないか、というお願いとご相談でご連絡させていただいた次第です。
私は、2010年以来、この「東アジア生涯学習フォーラム」の日本側の代表を仰せつかっております。この2010年
11 月、日本・中国(台湾を含む)・韓国三か国による第一回生涯学習フォーラムが上海で開催され、その場でフォーラムの継続が約束されました。その後、日中の尖閣諸島をめぐる政治的な関係悪化(2012年)をうけて一度途切れるのですが、中国の関係者の方々から、2016年に再び上海で三か国が集まるシンポジウムを開催いただき、再開が提案・了解され、以降、2017 年に日本(佐賀)、2018年は韓国(世宗)、2019年は再び中国(北京)と、集い学びあう機会が継続されてきました(経過はTOAFAEC年報「東アジア社会教育研究」に掲載されています)。2020年度は、本来は日本で開催の予定でしたが、コロナ禍となり、オンライン・シンポ(2021 年2月)となりました。
今年は日本で、東アジアの関係者が対面で語り学び会う集いを開催する年にしたいと考えています。実は各国関係者の中から、「沖縄で開催してもらえないか」という希望が寄せられています。小林先生と話し合いましたところ、コロナをくぐりぬけてようやく対面が叶うタイミングで、東アジアの皆さんを日本にお招きする場として沖縄で、できれば「やんばる対談」等で馴染みでもある名護市での開催企画を検討していただけないか、一度ご相談に参上しようということになりました。
「東アジア生涯学習フォーラム」の参加予定者は、大学教員や生涯学習行政関係者が中心で各国10名余り、全体として30~40名前後の規模になると予想されます。日程はおよそ二泊三日です。日本語、中国語、韓国語の三か国語対応で行います。会場として行政施設(中央公民館等)やホテル等を利用し、各国の社会教育・生涯学習をめぐる最新動向と注目すべき研究成果を互いに披露しあう、いわゆる座学の部分に加え、地元の実践に学ぶフィールドワークを位置づけております。なお、経費は旅費等は各国(各自)負担、また集会運営の必要経費は、私どもで獲得しております研究費がございます。これは、飲食等には使えませんが、会場費や講師謝金等の費用には活用できますので、フィールドワークでご協力いただく先においても、きちんと謝金等をご用意できます。皆様にご負担をおかけすることはありません。
時期や内容等 、計画の具体については、これからご相談を重ねながら定めていければと思っております。あわせて、このかんコロナで延期されていた小林先生の調査計画なども、このフォーラムと時期を重ねて実施し、私たちもご一緒させていただき、久しぶりにじっくりと沖縄に学ぶ機会になれば幸いと思っております。
年頭から突然に、やや重ための計画のご相談をもちだしておりますこと、ご容赦ください。各国の皆様のみならず、日本の私たち、そしてなにより、沖縄の皆様にとっても、有意義な内容にしていきたいと思います。ご協力いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
(石井山竜平 東北大学大学院教育学研究科
980-8576 宮城県仙台市青葉区川内27-1 ishiiyama@hotmail.com )
*名護訪問予定・日程など→別ページ→■
13, 3月・名護訪問報告ー東アジアフオーラム開催について
(3月11日) 石井山 竜平
あらためまして、久々の沖縄、お疲れさまでした。ありがとうございます。
通信原稿、ちょっと長すぎるように思いますが、以下の内容でいかがでしょうか。よろしくご確認ください。
東アジア研究交流委員会のみなさまへ
コロナ禍に阻まれ、延期が続いております東アジア生涯学習研究フォーラムですが、ようやく諸々の条件緩和が現れていることを受け、今年度こそは日本で開催しよう、そして日本で行うのであれば、小林先生が長年にわたって、その集落自治の可能性に注目されてこられた、沖縄・名護で行おうというアイデアが現れておりました。このたび、小林先生とともに現地に伺い、2023年11月ないしは12月あたりでのフォーラム名護開催にむけて、現地の関係者の方々と協議し、結果、ご一緒に取り組んでいただける旨、おおよそのご承諾を得ることができました。
3月5日(日)午前、旧名護博物館に集っていただいたのは、島袋正敏さん、稲嶺進さん、比嘉久さん、中村誠司さん、そこにやまとからは、小林、山口、山城、石井山というメンバーでした。多彩な話題が舞いましたが、おおよそ定まった方針は以下のこととなります。
・会場は、ホテル「ユガフイン」が有力。ここをベースに、名護の公共機関や自治公民館等を活用し、二泊三日のプログラムを組む。
・プログラムに組み込みたい内容としては、自治公民館(屋部公民館、城公民館が有力か)、エイサー等の青年文化、新博物館、琉球アユの再生を導き出した名護の生涯学習計画のその後の検証、軍事問題(伊江島)、等。
・日程は、九州教育学会と日程をつなげた11月20(月)・21(火)・22日(水)が第一候補。ただし、この時期は修学旅行の受け入れが極めて多い時期であることみえてきたことから、ホテル等のコンディションによっては、12月9日(土)、10日(日)を中心とした日程を、第二候補とする。
・3月toafaecの例会(3月31日(金))において、東アジア研究交流委員会としての協議をし、プログラムのたたき台を用意。それを名護の皆さんに提案させていただき、具体をめぐって名護の皆ささんに検討をしていただく。
・5月12日(火)、13日(水)、14日(木)の日程で、あらためて名護を訪問。この段階の協議で、プログラムをほぼ固める。
この会議以外においても、前日4日の那覇の社会教育研究会の皆さんとの再会、5日午後は曼草庵にて「やんばる対談」。翌日6日はコザにて、田場、東、玉那覇さんはじめ、中頭青年団OBの皆さんより重要な証言を得ることができました。さらにそこに又吉英仁さん(劇団「創造」)らも加わっていただいての語り合いと、コロナを越えての再開の中、大変深い内容での交流が幾重にもなされた旅となりました。
みなさまにおかれましては、名護に提案させていただくプログラムの具体を検討する3月31日(金)のtoafaec例会に、できうる限りご参加いただき、プログラム案の練り上げを共に取り組んでいただけますと幸いです。また、5月現地会議、11月もしくは12月の東アジア生涯学習研究フォーラムへの参加についても、今のうちからご検討いただけると幸いです。石井山竜平(東北大学)
▼名護にて打ち合わせ交流会(3月5日夜、「蓬莱」)
・・・・前列・左より(一人おいて) 山田さき(名護博物館)、山口真理子、稲嶺進(前名護市長)、内田純一(高知大学)、後列左より上田孝典(筑波大学)、宮城満(前名護市教委)、島袋正敏(「ものづくり」塾長)、小林文人、石井山竜平、島福善弘(前博物館長)の各氏ー敬称略
、
14、名護フォーラム第2日 (2023/11/20、城区公民館ホール)
◆名護フォ-ラム開催・写真など記録(2023/11/19~21)→■
2024年
15,中国・杭州フオーラム(案内)
●東アジア生涯学習研究フォーラムin杭州 まもなく開催
…フォーラム事務局
December 16, 2024 2:05 PM
今年は中国杭州市において、
12月
21・
22日に行われることは既報のとおりです。
進行中に多数の調整があり遅くなりましたが、最終的な会議日程および報告内容が添
付
※下記のように完成いたしましたので、ご覧ください。参加メンバーは、
19日や
20日に出発いたしますが、資料の翻訳など作成中で、間もなくの開催に向けて慌ただし
く過ごしております。
終了後の23日には杭州から上海に移動し、以下のようなことが考えられておりま
す。
・
10:30-11:30 「日本の社会教育」に関する講演
講演者:石井山竜平(東北大学)
・会場:職業教育と成人教育研究所(職成所)
14:00-16:00 華東師範大学の老年大学を訪問。現在の校長は黄晨先生。
16:30-17:30 上海生涯教育研究院を訪問。
上田さんと石井山さんに海外研究員証書を授与。
17:30頃 上海生涯教育研究院院長・李家成教授招待による夕食会
中国の皆さま方、よろしくお願いいたします。
●中日韓生涯教育シンポジウム 日程(12月20日~22日)
(日時 内容および発表者 会場・司会者)
12月20日 参加者到着受付 匯豊ビル
12月21日 午前 開会式 三階 汇通庁
司会者: 汪国新 (中国教育発 展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
8:45-9:30 杭州市銭塘区教育局指導者 挨拶
・中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長 韓民 挨拶
・浙江省教育庁または杭州市教育局指導者 挨拶
・特別基調講演:国際生涯学習の発展動向 楊進
(中国ユネスコ常駐前大使級代表、ユネスコ生涯学習 研究所理事、華東師範大学客員教授)
12月21日 午前 第一セッション:生涯教育研究の新たな進展(三階 汇彩庁)
司会者: 吴暁川 (中国教育発 展戦略学会生 涯学習専門委員会副理事長)
9:30-10:10 日本の生涯学習政策のこれまでとこれから 石井山竜平(日本東北大学准教授)
10:10-10:50 生涯学習研究への提案された概念:学習管理装置 姜大仲(韓国ソウル大学教授)
10:50-11:30 中国(本土)における生涯教育(学習)の研究概要
韓民(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長)
国卉男(上海教育科学研究所副研究員)
11:30-12:10 台湾生涯学習研究の趨勢と展望 張德永(台湾師範大学教授)
林彩媚(台湾師範大学博士課程) 12:10-12:30 質疑応答・討論 12:30-14:00 昼食 レストラン
12月21日 午後 第二セッション:生涯教育施設の変化と直面する課題 三階 汇彩庁
司会者: 新保敦子 (日本早稲田 大学教授)
14:00-14:40 韓国における生涯教育伝達システムの進化と課題:公共分 野を例に
郭有美(韓国光州人材生涯教育振興院)
14:40-15:20 ESDを柱とした岡山市の公民館活動の到達と課題 内田光俊(西大寺公民館長)
15:20-16:00 台湾の地域教育施設の発展と再考:竹塹社区大学を例に 林宗儒(台湾竹塹社区大学校長) 16:00-16:40 中国(本土)における生涯教育施設の概要と展望
呉遵民(華東師範大学教授、中国教育発展戦略学会生涯学 習専門委員会学術委員会主任)
馬麗華(華東師範大学副研究員)
16:40-17:20 質疑応答・討論 18:00 夕食 レストラン
21:00-22:00 フォーラム後の活動プログラムに関する討議(担当者1~2名参加)
12月22日 午前 第三セッション:生涯教育従事者の発展状況と動向
9:00-9:40 中国における生涯教育従事者の現状と上海の試み
黄健(華東師範大学教授、中国教育発展戦略学会生涯学習 専門委員会副理事長)
李娟(上海開放大学副研究員)
9:40-10:20 三階 匯彩庁 司会者: 日本の社会教育主事制度改革~汎用性と専門性をめぐっ て
上田孝典(日本筑波大学准教授)
10:20-11:00 韓国における生涯教育従事者の育成、職業ルートと課題
趙淳玉(韓国仁済大学教授) 梁炳赞 (韓国公州大学 教授、韓国生涯 教育学会会長)
11:00-12:00 質疑応答・討論 12:00-13:00 昼食
12月22日午後 第四セッション:地域教育施設の訪問および会議のまとめ レストラン
13:30-15:30 杭州市銭塘区地域教育施設の訪問
16:00-17:30 会議のまとめ(各自10分間) 末本誠(日本神戸大学名誉教授)
崔一先(韓国慶熙大学教授) 張德永(台湾師範大学教授)
楊樹雨(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会事務局 長)
銭塘区 白楊街道 隣里社区
18:00-19:30 夕食 会議終了 レストラン
備考: 1. 基調講演の発表時間は40分以内(通訳時間を含む、2カ国語の通訳は同時進行)
2. 第1~第3セッションの司会者および会議のまとめ発言者は、基調講演を行わない専 門家が担当。
3. 到着受付、宿泊および会議会場:杭州市銭塘区下沙学源街118号 浙江金融職業学院内 匯豊ビル
連絡先:浙江金融職業学院 朱大歓18958092206 杭州市銭塘区教育局 陳素芳13136166113 4.
送迎:杭州蕭山空港の出口にて専任者が対応。
*************************
●TOAFAEC(東京・沖縄・東アジア社会教育研究会)
通信 第102号(2024.12.29)
日本、中国、韓国等の研究者30余人が相集っての今年の中国杭州でのフォーラムも無事終えることができました。開催国・中国の皆様のご尽力に深く感謝するものです。
今回のフォーラムは、2010年から数えて7回目(コロナ禍でのオンライン開催を含めれば8回目)となります。初めて同時通訳が実現し、第3セッションの金さんが書かれたように、報告時間もその後の質疑応答の時間も十分取れることになりました。情報共用に大きな力になったのではないでしょうか。 最後の石井山さんの報告の中に「フォーラム・ラストの楊先生の素晴らしいプレゼン!」とありますのは、中国メディア大学・楊樹雨教授の3つにまとめられたというご感想のことです。その項目だけを揚げますと、
1中日韓生涯教育シンポジウムはすでに三カ国が交互に開催する健全な発展メカニズムを形成している
2老中青3世代で構成される安定した中核チームを形成
3交流の成果が徐々に現れ、未来の発展はますます明るくなる見通しである。
これを、三か国語で書かれ、写真も交えて大スクリーンに映し、通訳なしで表情豊かに述べられました。私も今回参加して、世代間でのつながりと参加国間の交流の深まりを強く感じておりましたので、楊先生のまとめに共感し、思わず涙が出そうになりました。 (TOAFAEC事務局・山口真理子)
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概要報告ー12月21日午前 開会式
司会:汪国新 (中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
挨拶:杭州市銭塘区教育局指導者
中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長 韓民
浙江省または杭州市教育局指導者
▲特別基調講演までは全国「社区教育研修会」と合同、2~3列に日本からの参加者が見える
特別基調講演:国際社会における生涯学習の発展動向
講演者:楊進教授 (中国教育部、中国ユネスコ常駐前大使級代表、
ユネスコ生涯学習研究所理事、華東師範大学客員教授) 記録:祁暁航
特別基調講演において、楊進教授は国際社会における生涯学習の発展動向について、六つの視点から体系的な論述を展開した。まず第一に、生涯にわたる学習理念の浸透について詳細な考察がなされた。とりわけ、孔子の「吾十有五而志于学」から始まる段階的な学習観や、プラトンによる6歳からの体系的な教育構想など、古代思想家たちの教育思想を丹念に紐解きながら、「ゆりかごから墓場まで」という学習理念が数千年の歴史を持つことが示された。
第二の視点として論じられた万人の生涯学習権の保障については、教育を基本的人権として明確に位置づけ、国連SDGs2030における包摂的で公平な質の高い教育の確保について、具体的な政策展開の可能性が示された。特に、教育が貧困の撲滅や不平等の解消に果たす役割について、世界各地の実践例を交えながら説得力のある議論が展開された。
第三の視点では、学習者中心の理念の提唱について、学習動機、内容、プロセス、環境など多面的な観点からの考察が示された。続く第四の論点では、多様な学習成果の認定システムについて詳述され、特に2012年にUNESCOが発表した非正規・インフォーマル学習の認定に関するガイドラインの意義について、解説がなされた。
第五の視点として取り上げられた学習都市・コミュニティの構築については、現在UNESCO学習都市が356都市に達している現状が報告され、「一つの村全体で子どもを育てる」というアフリカの諺を引用しながら、コミュニティ全体で学習を支える重要性が強調された。
最も注目を集めた第六の視点では、Blaschke(2012)、Ekoto and Gaikwad(2015)、McKeown(2011)らの研究を基に、教育理論の連続体(Pedagogy-Andragogy-HeutagogyContinuum)について詳細な解説がなされた。この理論的枠組みは、従来の教育学から成人教育学、そして自主学習理論へと発展する学習理論の進化を示すものである。具体的には、学習の「控制的中心」が教師主導から学習者の自己決定へと移行し、「認知水平」が単なる知識の獲得から、メタ認知を経て認識論的な能力の開発へと深化していく過程が示された。
さらに、「教師の作用」が従来の教授者から促進者へ、そして学習者の才能開発者へと変容していく過程や、「学習の焦点」が教科中心のカリキュラムから、課題・問題中心のアプローチを経て、学習者が主体的に学習環境を形成していく段階へと発展することが論じられた。特に注目すべきは、「学習の動因」が試験や進級のためという外発的動機から、必要性の認識を経て、新しい状況における学習可能性の追求という非線形的な学習へと進化していく点である。
この理論的枠組みは、学習者の経験の価値づけにおいても明確な進展を示している。教育学段階では軽視されがちな学習者の経験が、成人教育学では「重要」となり、自主学習理論では「非常に重要」と位置づけられる変化は、現代の生涯学習社会における学習者主体の理念を端的に表すものとして、参加者の強い関心を集めた。
本講演の意義として特筆すべきは、「学習社会は学習者の社会である」という基本的視座を提示し、学習型社会の構築においてボトムアップアプローチの重要性を強調した点である。また、講演の締めくくりとして提起された「一国の市民形成と生涯学習システムの在り方」という問題提起は、今後の生涯学習政策の本質的な課題を浮き彫りにするものであった。
このように、理論と実践の両面から生涯学習の発展動向を詳細に論じた本講演は、今後の研究方向性を示唆する意義深い報告であった。しかしながら、時間的制約によりフロアとの討議が十分に行えなかった点は、今後の課題として残された。特に、デジタル時代における新たな学習形態の可能性や、各国における具体的な実践事例についての詳細な意見交換が望まれる。(文責:祁暁航)
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12月21日午前 第一セッション:生涯教育研究の新たな進展
司会者:吴暁川 (中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
講演者:日本の生涯学習政策のこれまでとこれから 石井山竜平(日本東北大学准教授)
生涯学習研究への提案された概念:学習管理装置 姜大仲(韓国ソウル大学教授)
中国(本土)における生涯教育(学習)の研究概要
韓民(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長) 国卉男(上海教育科学研究所副研究員)
台湾生涯学習研究の趨勢と展望 張德永(台湾師範大学教授) 林彩媚(台湾師範大学博士課程)
質疑応答・討論 記録:上野景三
特別基調講演に続いて、第1セッションは、「生涯教育研究の新たな進展」をテーマに各国から報告が行われた。いずれの報告もそれぞれの国での研究の進展を総括しようと試みられたもので、聞きごたえのある報告であった。
最初の報告は、日本である。石井山報告は、日本の30年間の「生涯学習」政策を振り返ったものである。1987年の臨教審答申、文部省生涯学習局設置による政策の展開、そして30年経過後、文部科学省の局名から「生涯学習」の名前が消失するまでの過程を、関係者の証言によって再構成しようとしたものであった。証言からは、これまで触れられることのなかった文教行政内部の政策立案者たちの期待が述べられている。それに対して、社会教育研究の立場からの批判的な指摘も掲載されている。これらの30年間の動向について、「見えてきたこと」として3点にわたって整理された。
次の姜報告は、ユネスコの『私たちの未来をともに再創造する:教育のための新たな社会契約』(2021)に依拠しながら「教育が人生とどのように結びつくかを理解すること」との問題提起を行い、「教育と生活のかみあい」の重要性を主張した。その上で、「学習管理装置」という仮説的な概念を提起した。「学習管理装置」とは、生涯学習理論化のためのミクロ的なアプローチであり、「文脈知識の流通を通じて学習者を(再)生産する」装置のことである。個人や集団が学習を管理するためには具体的な装置が必要であり、学習管理とは異なり、非可視的な概念であると仮定した。これまでのformal、nonformal、informal の議論を越えて学習者の想像を生み出し、学習者自身を条件化させていくためには必要な装置であるとした。
3番目は中国からの報告である。韓民報告は、中国における生涯教育・学習の基本的枠組みと研究が成立してきた経過、及び研究領域、国際的な学習都市クラスターについての紹介がなされた。続いて国報告では、中国における研究の計量分析が紹介され、生涯教育研究のキーワードが抽出された。最後に、中国の生涯教育研究のホットトピックとして8点にわたって整理された。
最後は、台湾からの報告。まず張報告では、台湾の生涯学習の発展過程と政策の実施状況、生涯学習法の特色について報告がなされた。続けて林報告では、台湾における高齢者教育政策の概要と社区大学の発展の特徴について説明された。その上で、生涯学習の展望と生涯学習の専門化発展に関する検討がなされた。それぞれに重要な報告であったが、時間がなく討議の時間がとれなかったことは残念であった。(上野 景三)
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12月21日午後一第二セッション:
生涯教育施設の変化と直面する課題
司会者: 新保敦子 (日本早稲田 大学教授)
報告者:韓国における生涯教育伝達システムの進化と課題:公共分野を例に
郭有美(韓国光州人材生涯教育振興院)
ESDを柱とした岡山市の公民館活動の到達と課題 内田光俊(日本岡山・市西大寺公民館長)
台湾の地域教育施設の発展と再考:竹塹社区大学を事例に(台湾竹塹社区大学校長)
中国(本土)における生涯教育施設の概要と展望
呉遵民(華東師範大学教授・中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会学術委員会主任)
馬麗華(華東師範大学副研究員) 質疑応答・討論 (記録:新保敦子)
このセッションでは、韓国、日本、台湾、中国の順番で4つの報告が行われた。第1報告は、「韓国平生教育伝達体系の進化と課題 公共領域を中心に」である。平生教育法、第5次平成教育振興基本計画、また国家平生教育振興院や地方自治体(広域/基礎)における平生教育機関についての説明があった。報告を受けての質疑応答においては平生教育の体系についての質問、あるいは財政的にどのようになっているのかという質問がでていた。全体として、平生教育について、体系的なシステムが構築されていることに刺激を受ける内容であった。
第2報告は、「ESD を柱とした岡山市の公民館活動の到達と課題」であった。ESDを中心に据えた岡山市の公民館活動について、具体的な報告が写真を交えて行われた。また、各公民館に1名の専門職員が配置されていることなども興味を持って聞いてもらえた。内田報告に対する中国、韓国、台湾の研究者の興味関心は高いものがあった。それだけ日本の公民館は優れた制度であると認められていると思われる。そのため質問の中で、公民館は、なぜ近年、減少の方向に向かっているのかという疑問が中国の研究者から出されていた。また、職員の養成・採用と公民館といった社会教育施設への配置についても、質問がでていた。
第3報告は、「台湾の地域教育施設の発展と再考:竹塹社区大学を例に」であった。台湾・新竹市の旧港島における竹塹社区大学の取り組みによる紹介である。同地域は、少子高齢化が深刻な地域である。若い世代は村を離れているが、社区大学の努力によって、2年間で180以上のイベントが実施され、島が活性化されていることが報告された。日本においても離島の少子高齢化は問題が深刻であり、教育による地域振興の事例として、台湾の事例は大変に興味深い事例であった。
第4報告は、「中国(本土)における生涯教育施設の概要と展望」であった。生涯教育施設設置の概況、課題、展望について、報告がなされた。居住区ステーションー社区学校―社区学院という段階別に生涯学習の体制が構築されていること、また、社区教育の他に、職業学院、高齢者大学(国家開放大学)が生涯教育を担っていることが報告された。課題としては、①都市と農村間の教育資源の格差、②農村からの移住労働者、高齢者、障がい者などの社会的弱者層への教育ニーズが十分に注目されていないこと、③複数の部門が生涯教育に関与しているが、効率的な協力体制が欠如していること、④新たに設立された「国家老年大学」が、今後、どのような機能を果たすべきかが、指摘されていた。全体として、各国の生涯教育の推進体制や実践に相互に学ぶ貴重な機会となり、また議論も活発に展開された。(司会、まとめ:新保敦子)
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12月22日午前第三セッション:
生涯教育従事者の発展状況と動向
司会者:梁炳赞 (韓国公州大学
教授、韓国生涯 教育学会会長)
講演者:中国における生涯教育従事者の現状と上海の試み
黄健(華東師範大学教授、中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
李娟(上海開放大学副研究員)
日本の社会教育主事制度改革~汎用性と専門性をめぐって 上田孝典(日本筑波大学准教授)
韓国における生涯教育従事者の育成、職業ルートと課題 趙淳玉(韓国仁済大学教授)
質疑・応答 (記録:内田光俊、金亨善)
中国の報告では、まず生涯教育職員の範疇として、亭子※)を原型とした中国式の学習社会ビジョンの中で、主に社区(高齢者)教育の従事者であることが提示され、市、区、街道、社区の各レベルに置かれる教育機関に、専任講師、兼任講師、ボランティアがチームを組んで事業に取り組んでいることが示された。その配置状況は、国レベルでは2018年時点で大部分の市区の社会教育機関で10人、5人以下が42%、市区街道レべルの社会教育施設の1/3が兼務等の待遇であることも語られた。上海市では、2023年の職員数は61,686人とされるが、その大部分はボランティアであり、専任職員は1,866人、兼任は5,477人であり、専任・兼任職員の人口比は職員一人当り339千人あまりであり、少数にとどまっているという。職員の発展のために、上海市や成都市、蘇州市などが独自に条例を制定し、法的保障の努力をしている。しかし、社区教育教師への社会的な認知はまだ高くなく、流動性も高く、十分な訓練を受けられておらず、地域の均衡も取れていない。社区教育教師の職位制度が未確立で、そのための教育制度もないことから、社区教育のニーズに適応しきれていないという。そのような中で、上海市では教師資格管理の規範化をめざして専門能力ガイドラインを発布し、その能力要件を整理して提示している。そのための研修体系も整備し、職称承認制度も構築した。今後へ向けては、法制度の保障強化で講師資格を明確化しアイデンティティの向上を図り、有能者の参加を促進して、専門化発展システムを構築することが目指されるという。
日本の上田氏の報告は、事情からオンラインで報告された。社会教育士の呼称が導入された社会教育主事制度の変化を報告し、文科省が示しているその専門能力の内容と、社会教育主事講習の柔軟な開講形態が模索されることでの質保証の課題や、人材養成の出口戦略欠如の問題が語られ、社会教育の公共性から専門職としての力量形成とキャリア形成をどう構想するかの課題が提示された。
韓国の報告は、平生教育振興の軸として平生教育士があり、その定義や発展の経過がまず語られた。その養成と配置の実態としては、3級から1級の平生教育士制度のもとでの養成課程と昇級課程の構成と特に2級、1級の平生教育士養成課程の内容について説明された。2023年には約6,400人を養成。これまで養成された総数は1級1,031人、2級154,694人、3級7,914人で総計163,639人とのこと。平生教育法で平生教育機関には平生教育士の配置の義務が規定されているものの、配置率は86.5%にとどまっている。自治法改正で平生教育が自治体の事務と規定されはしたが、平生教育士の多くは公務員身分を持たないので、平生教育専門公務員の新設が課題となっていることも提示された。この間の平生教育士についての研究の多くはその専門力量に関するもので、そうした研究成果を活かして平生教育士の資格体系の改変、養成課程の強化、配置の拡大、研修の体系化の課題が提示された。
国ごとに社会教育専門職員の制度や配置の実態は異なるものの、制度改善を通して現実の社会教育の現場での実践が豊かになるための検討や研究が重ねられており、こうした学び合いの意味が大きいことがよく理解できる。韓国や中国のこのことにかける熱意のようなものは、日本のそれを凌駕しているようにも感じられ、いっそう日本での専門職による実践の成果が求められると感じた。 (内田光俊)
※)元の意味は「東屋」。学習型社会のビジョンを東屋に見立てられている(真)
第一報告は中国からの「生涯教育従事者の現状と上海の試み」における報告で、上海の事例を通してみた社区教育の職員体制と実践の様子が共有された。上海市だけでなく、中国内の自治体レベルにおける条例を根拠として社区教育の体系づくりの努力が見られている。一方で、社区教育を担当する専門職の養成及び職務に関する制度的措置はまだ不十分であることが課題としてあげられた。
第二報告は、日本から社会教育の専門職における制度的変容とその意義及び課題における話題提供が行われた。報告者の上田孝典氏は、オンライン報告ではあったが、日本の社会教育主事制度における歴史と近年の社会教育士の称号における変化について質問が多く出た。社会教育主事の配置は、都道府県及び市町村単位の必置になっているにも関わらず、実際の配置率はまだ低い課題は、日本と韓国の社会教育専門職における共通課題であり、特に2020年以降導入された社会教育士の役割における課題は、韓国参加者にとっては興味深い内容であり、多くの質問が寄せられた。
第3セッションの最後の報告は、趙淳玉氏による「韓国における生涯教育従事者の育成、職業ルートと課題」に関する内容であった。韓国の平生教育をリードしていく中心的な役割として、平生教育士が1級から3級までの体系の中で養成され、韓国の社会教育法改正の歴史とともにその専門職の存在感も増してきた。特に、近年の動向として、平生教育士の1級の昇給課程においてデジタル力量を強化し、より現場に適した専門性を涵養するための科目が開発されている点は、韓国の社会教育専門職養成における進展だと思われる。しかし、これまで約16万人以上の平生教育士が養成できたにも関わらず、実際に平生教育機関に配置されて働いている人は6千人程度であり、特に、民間機関よりも公的な社会教育機関での配置ができていないことが課題としてあげられた。
今回のフォーラムでは、同時通訳を行ったため、各報告者の報告時間と、報告後の質疑応答及び議論の時間が十分に設けられた。特に第3セッションでは、社会教育の法制度及び専門職の養成体系におけるテーマを中心として議論が行われ、社会教育専門職の配置及びその養成課程における質改善は、今後東アジアの共通する課題として議論していく必要性が今回のフォーラムを通してより明確になったと思われる。さらに、社会教育の公共性における課題、例えば、個人的な興味関心に即した趣味・レクリエーション等の諸活動を中心としてきた社会教育のプログラムを、より社会全体の共通テーマとして拡大していくことも、東アジアの社会教育プログラム開発における共通課題として議論された。(金亨善)
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12月22日午後 第四セッション:
地域教育施設の訪問および会議のまとめ
杭州市銭塘区白楊街道隣里社区居民委員会(以下、社区)の教育施設を見学
会議のまとめ 会場:上記施設内
末本誠(日本神戸大学名誉教授)、崔一先韓国慶熙大学教授)
張德永(台湾師範大学教授)、楊樹雨(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会事務局長)
この社区は、近隣の製造工場で働く従業員とその家族が多く居住しており、工場が提供する社宅として利用されている建物が多数存在している。一人部屋、二人部屋、家族部屋が用意されており、特に若年層の居住者が目立つ特徴がある。
区の教育施設は、地上3階建ての建物で、様々な機能が備わっている。1階には、ボランティアによるサービスを提供するフロント、QRコードを読み取って電子書籍を閲覧できる機械、幼児向けの閲覧スペース、住民同士が意見交換できる交流スペースなどが設置されている。また、誰でも自由に利用できるキッチンや冷蔵庫も完備されている。2階には、お茶を飲んだり読書を楽しんだりできるカフェスペース、会議室、インターネット中継設備を備えた部屋などが設けられている。3階には、事務室、カウンセリングルーム、ジム、VR体験施設、防災訓練施設、文化活動室などが集約されている。施設内には食堂も併設されており、特に高齢者向けのサービスとして、80歳以上の方には1割、90歳以上の方には2割の食事費用が補助されている。
施設見学後には、東アジア生涯教育研究杭州フォーラムの全体討議が行われた。日本からは末本誠先生が登壇し、中日韓台湾における生涯学習の共通点と相違点について言及した。特に、NPOを活用した学習社会の構築と、個人の学習権利保障の重要性の2点を課題として提起した。韓国からは崔一先先生が中国語で挨拶を行い、自身の見解を述べられた。続いて、中国の楊樹雨先生が本フォーラムの歴史を振り返り、2010年の上海フォーラムでの参加者たちの集合写真を紹介された。特に、今回の杭州フォーラムに参加されている韓民先生、呉遵民先生、汪国新先生、そして日本の石井山先生、韓国の姜大仲先生、梁炳賛先生は、上海フォーラムにも参加されており、当時の集合写真を目にすると、感慨深げに目を潤ませながら記念撮影に臨んでいた。通訳・翻訳に携わられた方々も加わり、温かい雰囲気の中で記念撮影が行われた。
最後に、韓民先生から、本フォーラムが世代を超えて続くことの重要性と、そのバトンを来年開催される韓国での集会に託す旨が述べられた。(報告:孫冬梅)
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〇フォーラム初日夜の会議(次年度以降をめぐっての協議)のご報告
石井山です。それぞれ早々に記録をおまとめいただき、ありがとうございます。そして、改めまして、皆様、この杭州フォーラム計画へのご加担、どうもありがとうございました。上田先生が参加できないというハプニングは残念ではありましたが、おそらくは一生語り継がれるプライスレスのエピソードが生まれたと、ポジティブに受けたいと思います。ともかくいまは、2010年から積み重ねてきた交流を今年も継続できたことを、喜び合いたいと思います。そのことの意味や価値を確かめ合うことができたフォーラム・ラストの楊先生の素晴らしいプレゼン! あらためて、このつながりのありがたさ、積み重ねの確かさを、しっかりと心に刻めた時間でした。
なお、本集会をめぐっては、地元杭州の汪国新先生に多大なご尽力をいただけたことで実現できたことも、しっかりと心に刻んでおきたいと思います。同時通訳ブースや留学生の皆さんの旅費等で、破格のご配慮をいただけたのは、汪先生のご尽力によるものと聞いております。また、日本の研究とはかなり親和度の高い地域研究を積み重ねておられることが、お話から感じとれました。是非とも今後に、汪先生の研究に学べることを期待したいと思います。
さて、初日の夜、次年度以降をどうしていくかをめぐっての会議があり、そこで話し合われ、共有された内容の概要をご報告します。日本からは私と上野先生、韓国からはヤン先生、チェ先生、中国からは、韓民さん、呉さん、楊先生、そして金さんや孫さんなど、通訳者の皆さんに加わっていただいての協議を行いました。
まず、韓民さんより、次年度は韓国で行うということの確認がありました。そのことが韓国側で了解され、時期はおおよそ11月あたりで調整を行う、ということが確認されました。続いて、内容を持ち方をめぐって、ヤン先生より共同研究として進め成果物を出すことの提案がありました。そこに私から賛同の意を表明し、このかん日本側の科研を活用してフォーラムが開催されてきた経緯があり、成果の発信が必要であることと、それを行う上では、名護フォーラムで確認・共有された小林先生の研究方法・研究視角を基礎に枠組みを用意するのがよいのではないかということを提案しました。
基本その意見が受けとめられながら、その後、さまざまに意見を出し合いました。結論としては、
①来年度末を目標に、それぞれの言語で共同研究を出版することを目標とする、
②次年度のフォーラムは、そこに掲載される論考を検討することを主な内容とする、
③フォーラムのテーマは、ホスト(次年度の場合は韓国)が定めるのが原則であることの確認。
④出版計画を検討するチームとして、ヤン、チェ、韓民、石井山、李、上田、というメンバーで年始に
オンラインで話し合いをもち、本の章立てを検討する、ということを確認しました。
翌朝、ヤン先生と、朝食をとりながら、このことをめぐってもう少し話し合いしました。ヤン先生からは、これは石井山科研の一環として取り組むものであるという位置付けを明確にして進めた方がよいのではないか、との提案をいただきました。そして、次回フォーラムのテーマ設定者は韓国ではあるけれども、名護フォーラムの内容を基盤に本書の企画があるなら、石井山の方からまず本の枠組みについて提案がなされ、それを叩き台に協議をすすめ、その延長にテーマも定めたい、との趣旨のご意見も合わせていただいたところです。
加えて、この杭州フォーラムでは、まとめの協議で、末本先生などから、今後の研究協議に向けての視点をいくつかいただきました。こうした、この杭州でえた視点も踏まえ、まず年明け、小林先生にも相談をしながら、そして、④で触れた検討チームで話し合いながら、出版計画を本格的に始動させていきたいと考えております。
みなさまには、今後のフォーラムの継続に加え、こうした新たな協働計画にもご加担いただきたく、引き続きのお付き合いを、どうぞよろしくお願いいたします。(2024.12.29 石井山竜平)
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