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 (2020年01月16日 *南の風4123〜24〜25号)
  *■アルバム・写真記録 ■東アジア交流員会2020〜記録



1、2020日1月16日

(1) 木下巨一(Sat, 25 Jan 2020 18:10、FB) 長野県生涯学習推進センター・所長  
 −日本公民館学会、東アジアフォーラムの受け入れについての意見交換会が行われました―
【目次】  (写真・■アルバム記録)
 ▽ 日本公民館学会について
 ▽ 多彩な顔ぶれが集まる
 ▽ 松本大学側は、受け入れについて合意
 ▽ 松本らしく、長野県らしい研究大会に
 ▽行政セクターと住民セクターの融合した、特徴的な長野県の公民館の風土 
 ▽ ソーシャルワーカーとしての社会教育士を育てる松本大学
 ▽松本市生涯学習計画「学びの森づくり」20年の節目として
 ▽ 長野県の公民館運動の追い風にもつなげたい
 ▽ 松本市や長野県内の住民、職員にとっても実りある機会とするために
 ▽ 東アジアフォーラムと研究大会をどのように結びつけるか
 ▽松本市や長野県の実践と、東アジアの実践を交流する機会として
 ○ 小林文人さんを囲んで、懐かしいメンバーで交流会。
【本文】
○ 日本公民館学会、東アジアフォーラムの受け入れについての意見交換会が行われました。
 1月16日(木)に松本大学で、2020年度日本公民館学会研究大会(以下研究大会)と、東アジアフォーラムの受け入れについての打ち合わせ会が行われました。研究大会は、毎年、12月に行われ、総会も併せて行われる、学会で一番の節目となる集いです。
▽ 日本公民館学会について
 日本公民館学会は2003年に発足した学会で、社会教育だけではなく公衆衛生学や建築学など、学問分野を横断した学際的な研究者や学生が集うとともに、公民館などの社会教育現場の職員など、多彩な顔ぶれが参加しています。役員組織も三役のうち一人は必ず自治体職員(またはOB)が就任しています。
 民主主義の学校、住民自らの手による郷土復興の拠点として誕生した公民館は、地域によってその組織や活動には大きな違いがあり、公民館の設置を呼びかけた当時の文部省では産業振興もその活動領域として想定しており、社会教育を超えた役割が期待されていました。
 また行政が設置した公民館とともに、地域住民の手により運営される自治公民館(分館、町内公民館、地域公民館など呼称は多彩)が住民の暮らし身近に地域に多数あり、こういう状況を踏まえて、日本社会教育学会など既存の学会とは異なる役割を持つ機関として日本公民館学会は設立しました。
▽ 多彩な顔ぶれが集まる
 松本大学では2005年にも研究大会を受け入れており、その時には大学は大会を共催し、他に松本市教育委員会と長野県公民館運営協議会も後援していました。
 この日の打ち合わせには多彩な顔ぶれが集まりました。松本大学からは学長の住吉廣行さん、地域連携課長の赤羽雄次さん、観光ホスピタリティ学科教授の白戸洋さん、同専任講師の向井健さん、教育学部専任講師の大蔵真由美さんが参加。
 松本市からは中央公民館長兼生涯学習課長の栗田正和さん、社会教育推進係長の横田史樹さん、中央公民館主事の平林祐介さん、主事会幹事長の中條陽さん、田川公民館主事の床尾拓哉さんが参加。床尾さんは長野県公民館運営協議会主事会幹事長も務めています。
 他にも塩尻市中央公民館の安藤寿秀さん、元上田市西部公民館次長で、現在は教育委員会生涯学習文化財課の中村文昭さんなど、県内他地域からも参加。
 そして何よりも特筆したいのは、日本公民館学会の発起人の一人でもあり、東アジアフォーラムの中心メンバーでもある小林文人さんが参加されたことです。小林さんは1931年生まれですから、今年で89歳になられます。股関節の手術などで杖を突きながら参加ですが、まだまだお元気です。
 ここに学会メンバーとして前松本市教育部長の矢久保学さんと、私の併せて15人の会議となりました。

▽ 松本大学側は、受け入れについて合意
 会議冒頭で学長の住吉さんからは、研究大会を受け入れることについては歓迎する旨の発言をいただきました。日程は、入試日程などとの調整から12月5日(土)、6日(日)であることが条件です。
 松本市中央公民館長の栗田さんからは、職員の力量養成の機会になればありがたいと、受け入れについて前向きの発言をいただきました。今月26(日)に学会では臨時の理事会が計画されており、この日の意見交換の結果を受けて、研究大会の日程、会場などについて決定することになります。
▽ 松本らしく、長野県らしい研究大会に 
 大会への期待や内容については、次のような意見が交わされました。
▽ 行政セクターと住民セクターの融合した、特徴的な長野県の公民館の風土。
 長年松本市の公民館活動とのかかわりを持たれてきた小林文人さんからは、長野県の公民館には次のような特徴があるということを指摘していただきました。
 近年は、指定管理制度の導入や、コミュニティセンター化による職員の引き上げなど公的セクターであったはずの公民館が変容していますが、長野県の場合は県内ほとんどの公民館が公的セクターとしての位置づけを堅持しています。もう一方で地域住民自身が公民館の運営を担う自治公民館の制度も、県内ほとんどの地域で維持されています。そして公的セクターとしての公民館と、住民セクターとしての公民館が融合する形で、長野県の公民館は成立していることが大きな特徴です。
 対照的なのは沖縄で、自治公民館の活動が公民館活動の主流です。日本で唯一の地上戦が行われ、その後長い間アメリカの占領下にあったという地域性から、自治公民館の活動は極めて社会性が高く、充実していますが、行政セクターとしての公民館の育成にはあまり熱心ではありませんでした。
 私も所管する長野県生涯学習推進センターのこれからの運営を見据えて、長野県下公民館の置かれた状況を分析してみましたが、小林さんのお話と同様、行政セクターの公民館と住民セクターの公民館が両立・融合していることが長野県の公民館の特徴であり強みであると捉えています。
 そしてこのことが公民館に、住民と行政の協働のための橋渡しの機関、という役割を与えてくれており、そういう公民館が存在することで、地域住民に寄り添う自治体運営につながっているのではないかともとらえています。

▽ ソーシャルワーカーとしての社会教育士を育てる松本大学
 松本大学では、2020年度より、社会教育主事の養成課程が始まります。所管するのは総合経営学部観光ホスピタリティ学科です。松本大学では2017年度に教育学部を設置しましたが、教育学部ではなく、総合経営学部に社会教育主事の養成課程を置くというところが大きな特徴です。
 2002年に誕生した松本大学は、県内の若者たちを受け入れ、地域の中で学び、県内各地域へ返すことを教育活動の中心に据えた大学です。そのため地域で学ぶカリキュラムや、学生と地域を結ぶための「地域づくり工房 “ゆめ”」などの仕組みづくり、卒業後3年間を松本市の職員として地域の現場で学ぶ地域づくりインターンシップなど、地域と学生をつなげる多彩な取組を進めています。
 総合経営学部では、地域を支える人材として学生を育てるための役割として社会教育主事に注目し、防災士、社会福祉士、学芸員などに加えて、いうなれば地域社会の支え手としてのソーシャルワーカーとして、社会教育主事の育成を進めることになりました。
 同大学のこれからのあり方を考える上でも、地域住民の学習活動や、そういう学習活動を支える公民館、社会教育とのつながりは極めて重要です。研究大会は、社会教育主事養成初年度でもあることから、学生たちの学びの場としても期待しています。

▽ 松本市生涯学習計画「学びの森づくり」20年の節目として
 1965年ポール・ラングランがユネスコで「生涯教育」という概念を提唱し、国内では1986年臨時教育審議会答申として「生涯学習体系」への移行を提言したことを受けて、全国各地で生涯学習計画づくりが行われました。
 当時各地で作られた計画の多くは、国の答申の焼き直しでしたが、松本の場合は、公民館が中心となり、住民と職員が協働し、住民の学びの活動の実際を知ることから積み上げ「学びの森づくり」という、住民の主体的自発的な学びの活動を行政はどのように支えていくのか、という内容で1994年に策定されました。
 松本市では生涯学習計画の策定に併せて、公民館主事会が住民の草の根の学習活動を調査し、147の活動をレポートにまとめた「松本の根っこワーキング」を発行、また,1991年には社会教育に関わる研究者、学生、自治体職員、住民が全国から集う「社会教育研究集会松本集会」の受入れも行いました。
 こういう取組を通して、住民も職員も、公民館や社会教育について振り返り、これからの取組の備えにすることにより、その後の公民館、社会教育の活動の活性化につながりました。
 日本公民館学会研究大会が松本で開催されることが、公民館や社会教育活動に関わる住民や職員にとって、自分たちの活動の振り返りや、力量向上につなげられていくことが、期待されています。
 ▽ 長野県の公民館運動の追い風にもしたい
 小林さんからは、住民セクターと行政セクターが融合しているのが長野県の特徴であると分析していただきましたが、これは長野県の強みであるとともに、もう一方で住民セクターの場合は、活動のマンネリ化や役員の固定化・なり手不足、行政セクターの場合、職員の経験年数の短期化などによる力量低下などの課題も生まれています。
 研究大会が、長野県の公民館関係者にとって、課題解決のきっかけとなるような場となることも期待しています。そのためには県内各地の公民館現場の職員や住民の皆さんの参加につなげられることが必要であり、長野県公民館運営協議会や生涯学習推進センターがどのように関わることも大切な要素となりそうです。
▽ 松本市や長野県内の住民、職員にとっても実りある機会とするために
 意見交換会終了後、学会メンバーである矢久保さんと、松本市や長野県内の公民館職員にとっても実りのある機会にするために、特に2日目の12月6日(日)の進め方を大事にしたいという話をしました。
 最近の研究大会の進め方は、初日の午後に課題研究、2日目の午前に自由研究発表、午後に開催校企画という流れでしたが、現在学会が取り組んでいる課題研究テーマが「公民館職員の養成、採用、研修」ですから、2日目を課題研究と開催校企画とし、公民館職員の力量形成を共通項としてつなげることができるといいのではないか、という案です。

▽ 東アジアフォーラムと研究大会をどのように結びつけるか
 韓国、中国、台湾等で近年、社会教育や生涯学習に関する法整備や、仕組みづくりが進んでいます。これらの動きはもともと、日本の社会教育活動をお手本として進められたものですが、最近ではむしろ日本の取組以上に、住民や地域にとって必要な役割を担い始めているようです。
 東アジアフォーラムは、日本と東アジアの研究者が互いの国の制度や仕組みに学び合いながら、自国の社会教育・生涯学習の取組の発展につなげることをねらいとした国際的な学術交流の機会です。昨年度は北京で開催され、今年度は日本で開催することとなり、その開催地として松本市が候補となっています。
 ▽ 松本市や長野県の実践と、東アジアの実践を交流する機会として
 東アジアフォーラムは、「東京・沖縄・東アジア社会教育研究会」が提唱した経緯があり、この研究会には、日本以外にも中国や韓国の研究者も参加しており、日本の場合は特に沖縄の社会教育を焦点に置いた研究活動が行われています。
 東アジア諸国のうち特に韓国の場合は、生涯学習を「平生教育」という言葉で定義し、「マウル」という地域コミュニティを基盤として、学びを基盤とした地域の課題解決に向かう取組が進められるなど、日本以上に社会教育・生涯学習の取組が盛んです。
 そう考えると住民セクターと行政セクターが融合した長野県の公民館運動と、東アジアの社会教育活動が交流する機会ともなる東アジアフォーラムも、受け入れ側である長野県や松本市にとっても意義ある場ではないかと捉えています。
 今回の意見交換会の場では、東アジアフォーラムを日本公民館学会研究大会と一部を重ねることにより、双方にとっても、開催地にとってもプラスになるのではないか、という意見が多く出ました。
 なお、東アジアフォーラムの松本開催については、今回の意見交換の様子を受けて、小林文人さんや李正連さん(東京大学)、上田孝典さん(筑波大学)、石井山竜平さん(東北大学)など中心となるメンバーの皆さんによって方向付けをしていただくことになります。
○ 小林文人さんを囲んで、懐かしいメンバーで交流会
 この日の夜は、せっかく小林文人さんが松本に来られたということもあり、松本市からは手塚英男さん、村田正幸さん、元中央公民館長永田幸彦さんと高橋伸光さんらも加わり、しっかりと親睦を深めました。


(2) 矢久保 学 (Wed, 22 Jan 2020)
   *松本市(公民館、地域福祉等勤務を経て)政策部長・教育部長を歴任、
     現在は(公益社団法人)松本地域シルバー人材センター・専務理事・事務局長  
 <松本からの報告>(1月16〜17日の記録)
 この度は、小林文人先生にご来松いただき、充実した会議と小林先生の米寿を祝しての懇親会を催すことができました。懇親会には、松本大学の白戸・向井・大蔵先生、県生涯学習推進センターの木下所長、現役の松本市公民館の床尾・平林・田口さん、そして手塚・村田・永田、高橋さんらの松本の懐かしい面々、さらに上田市の中村さんと塩尻の安藤さんにも駆けつけていただきました。小林先生が来られなければ、これだけの面々が一堂に会すことはなかなかできない状況です。今年の日本公民館学会・東アジアフォーラムの成功に向けても大切な懇親会となりました。
 1月16日の公民館学会・東アジアフォーラムについての会議と、17日に木下所長と矢久保が小林先生と話し合った結果を踏まえ、矢久保なりの期待を込めてまとめたイメージは次のとおりです。

1、地元の松本や信州の公民館は、公民館学会・東アジアフォーラムを松本や信州にとっても良い起爆剤とすること。松本市の教育委員会・公民館はじめ県公運協や県生涯学習センターが共催や後援等で組織的に連携し、多くの関係者に参加していただく。松本の観光コンベンション協会では各種の支援が可能なので、ここへも呼びかける。(17日に矢久保から松本市教育長、コンベンションの福島事務局長へ概略の話をしました。生涯学習課の事務的・政治的な頑張りに期待します。)
2、公民館関係者だけでまとまらず、市民活動実践者や公民館経験者等も加えた地元の実行委員会的な組織を立ち上げ、お互いが講師となったミニ学習会を開き、これからの公民館や社会教育士等について意見交換し、学会での地元企画を内容的にも深めていく。
3、12月5日(土)の学会1日目は、総会を含めた公民館学会の企画内容とし、12月6日(日)は、学会やTOAFAEC(東アジア社会教育研究会)の協力を得ながら、大胆に信州・松本地元企画とする。
4、東アジアフォーラムの皆さんには、12月6日(日)の午後くらいからご参加いただき、6日(日)の信州・松本地元企画では東アジアを意識し、信州の公民館活動をベースにしながら東アジアの制度や取組みに学ぶ内容を付加する。 
5、12月6日(日)の信州・松本地元企画は、身近な地域で町内公民館や分館等の住民立公民館と公的公民館が協同で進めてきた「信州の公民館システム」や、どこの部局に異動しても公民館主事としての仕事ができる「信州の公民館主事」の秘密に迫り、他部局からも頼りにされる公民館、公民館の外側へ影響を与える公民館とは何か、公的社会教育のあり方と社会教育士への期待等について考え合う。
6、日本公民館学会の企画としては、かつて建築工学関係者とも連携を図った学際的な取り組みの経験や学会の成果を踏まえた上で、公民館本来の豊かさを再認識し、これまで以上に小さくてもきらりと光る「学際的に情報共有できる内容」を期待していく。例えば建設関係では「小さな拠点」、福祉関係では「地域包括ケア体制」の中で、公民館に期待されること(?)や、公民館との協同事例等について、公民館とは別の立場からの発言も加えて意見交換できるような集いを期待していく。
 そこで、重要となるのは、まずは日程と会場を確保することだと思います。早めの決定をお願いいたします。

 これまで幾度となく松本を訪れている小林先生ですが、今回はこれまでとは違った松本の文化にふれていただくことができました。ひとつは、松本市美術館で松本市出身の世界的芸術家・草間彌生氏の特集展示「草間彌生−魂のおきどころ」。ふたつは、松本民芸館を訪れ、素朴で美しい民芸品をご鑑賞いただいたことです。因みに松本民芸館は、松本に生まれた故丸山太郎氏が柳宗悦の民芸運動に心酔し、自身の目で珠玉の民芸品を蒐集し創設したものです。小林先生の真剣なまなざしが印象的でした。民芸館のサロンで小林先生と木下所長、矢久保で話をしたときに話題となったのは、現在元職員や公民館関係者が個人で所有している信州の社会教育の資料をどこかに集められないかということでした。
 この度の小林先生とじっくり話すことができ、矢久保は現役時代に忙しさを理由に「してこなかった」ことのひとつとして町内公民館のこれまでとこれからをしっかり学んでまとめていくことの大切さを再認識いたしました。
 実はこの間矢久保は、数日前に筋トレで無理をしたため体中が麻痺して座っている間も痛みが続いていたことに加え、現在のシルバー人材センター事務局の仕事として「松本市自転車駐車場指定管理者申請書」の作成で徹夜が続いていたという最悪の状態でした。しかし小林先生とお会いでき、次第に体も心も晴れ晴れとしてきました。これからまた頑張れそうです。小林先生本当にありがとうございました。


(3) 小林 文人 (Sun, 19 Jan 2020 23:56)
   −東京学芸大学名誉教授、TOAFAEC(東京・沖縄・東アジア社愛教育剣友会)顧問
 <松本訪問、皆さんお世話になりました―報告>
 1月16〜17日、松本市・松本大学に行ってきました。今年の日本公民館学会・東アジアフォーラムの松本開催について、関係の皆さんが集まり協議。当方は、私的な旅のつもりでしたが、これまでの経過もあり、この集いに参加させていただきました。日本公民館学会は第4回大会(はじめて首都圏を離れた大会、当時は学会長2004年)を松本大学で開いた経緯があり、実に思い出深い集会。受け入れの中心・白戸洋さん(教授)や住吉広行学長(九州大学院卒)と久しぶりにお会いできて、懐かしい限りでした。若い白戸さんも今年60歳とのこと。会議には松本市の関係者だけでなく、上田市や塩尻市そして長野県生涯学習推進セターの木下巨一さん(所長、学会理事)も参加され、公民館学会を松本だけでなく長野県レベルでも受け止めようといった雰囲気でした。有り難いことです。
 松本大学で開かれた関係者の集いでは、前半は住吉学長も出席され、12月の学会大会の引き受けに問題はないこと、松本市や長野県の社会教育として内容ある集会にしてほしいことなどが語られました。その間に、平行して開催希望の「東アジア・フォーラム」については、皆さんにほとんどイメージがなく、小林から2010年以降の、上海→佐賀→公州→(昨年の)北京開催、にいたる経過などを短く説明いたしました。関連の年報や南の風記事をTOAFAEC 事務局より松本・矢久保学さんに送っていただきましたが、内容的に今後どのようなプログラムにするか、そのテーマ・日程、フィールド見学の企画等について、公民館学会プログラムとの連結の可能性を含めて、東アジアフォーラム関係者側で早急に内容案をつめて協議を進めていく必要がありましょう。学会とともに東アジアフォーラムを松本で開催することについての大枠のご理解はいただいたように思いました。
 矢久保学・木下巨一のお二人には松本駅の改札に迎えていただき、2日間すべて木下さんの車で移動、帰途も駅改札まで送っていただき、恐縮のほかなし。矢久保さんはじめ松本の皆さんとの永年の交流については次号に書くことにします。

 <松本・社会教育との交流史>(Thu, 23 Jan 2020 23:56)
 定かな記憶ではなくなっていますが、40年あまり前のこと、1975年に信州・湯田中で開かれた社会教育研究全国集会(第15回)で初めて松本からの報告を聞いた記憶。その翌年に「励まし学ぶ主事たちの動き」(小川利夫編『住民の学習権と社会教育の自由』1976)で松本市公民館主事会のことを(福岡市公民館職員協議会と並べて)書いています。その後、何よりも大きな出会いは1991年の同・全国集会(第31回)が松本で開かれたこと。当時ぶんじんは社全協委員長でした。矢久保さんや永田さんが若い世代として活躍し、後世に語り継がれる『松本の学びネッコワーキング』が刊行されました。足もとを掘れ・そこに泉が湧く、ことを実感した思い出。
 そして和光大学に移って(1995年〜)、浅間温泉に大学の宿泊施設があり、毎年のゼミ合宿は(新入生も卒論ゼミも)松本へ行く慣わしとなり、学生たちとともに松本の皆さんとの交流が拡がりました。本郷公民館で村田さんの手作り料理で歓迎いただいたり、中央公民館の料理講座に学生たちが出会って(いわば教材を)食べつくしたり(和光学生は遠慮を知らず!)いろいろ。和光移動大学を松本市で何年も開催させていただいた思い出も。
 松本の公民館実践に学ぶところ大でした。大作『松本市公民館活動史』(2000年刊)をはじめとして、「町内公民館の手引き」や生涯学習計画「ずくだせ学びの森づくり」など忘れることができません。日本社会教育史のなかでの典型的な自治体社会教育の歩みとして光彩を放ってきたと言えましょう。その70年にわたる展開は、私たちの年報「東アジア社会教育研究」24号(2019年)に矢久保さんが「松本市公民館70年史」としてまとめています。今年の東アジアフォーラムが松本で開催されるのであれば、これをハングル・中国語に翻訳して東アジアの仲間に配布する案など検討できないでしょうか。











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